湊かなえ著 「告白」

告白

「馬鹿ですか?」

第一章から構成の凄まじさに舌を巻いた。
こういう話が読みたかったんだ! とかなり衝撃を受けました。語り部である森口悠子の話術と、記述トリックの相互作用が昇華しすぎだよ……手放しで賞賛出来る。第一章の衝撃が強すぎて、ちょっと呆然としたり笑。なかなか無い、背筋を駆ける(いい意味での)悪寒があった。 私はこの作品で湊かなえさん自身に物凄く興味を持っちゃいましたね。彼女は何故この話を書こうと思ったのだろう、とか、憎らしく懲らしめたい子供が身近にいたんだろうか、とか笑。殺したいような相手がいたのかなー? とかとか。そういう考え方を与えてくれる、”余地がある”作品が私は大好きです。
あ、でも一部では「携帯小説」と言われているらしいですね。この作品をそう批判する人とは話が合う気がしないな。ある種踏み絵的に使えるかもしれない。普通に小説としてその内容が気に食わない・その構成が気に食わないというならわかるけど、「携帯小説」って形容するのがなあ。私はこの作品をそういう風にしか感じられない人とは、まず根本的に合わないと思う。文学がなんたるか、という考え方からして全然違うってことだから。

話題性もあるしということで文庫化してから読んだミーハー野郎なんですが、それでも手に取れて良かった。何度も何度も読み返しては、登場人物たちの自然な「嘘」を見抜いていくのがまた異様に楽しい。辻褄が合いすぎた、正当性しかない「理由」と「告白」は、どこかしらフェイクがある。ニヤッとさせられスカッとする傑作です。